拾いもの

霜が降りた池塘にカモが一羽=21日、尾瀬ヶ原

 

 信号待ちしていた、私の視界に折りたたんだ紙切れがあるのが映りました。

”もしやっ″と思い自転車を降りて、目にもとまらぬ速さでそれを拾いました。

 それは千円札。どこをどう見ても本物の千円札。百円ショップで何でも10個買えるあの紙なのだ。

 交番に届けることも一瞬考えたけど、失くしたときの用心にお札の番号を控えている人はいないし(たぶん)、警察だって忙しい。そんなものにかまっているほどヒマではないのだ。

 ここは買い物に行ったご褒美に神さまがくれたに違いない。そう考えることにして、この千円はもらうことにしました。

 ―その千円以来、大物を拾うことなく、時折り一円玉を拾い上げてはため息をつく日が続いています―。