青春18切符 2009年

 初めて乗る東京駅からの始発列車。5時20分発、静岡行きの普通列車だ。乗り換え時間に10分の余裕があるけど「きっと並んでいるだろうなあ、座れなかったらデッキに陣取るか」。半ばあきらめの気持ちでホームに向かった。
 すでに大垣から「ムーンライトながら」が着いていた。この列車が折り返す。心配するほど並んでいない。意外だったのはシートが特急列車仕様だったことだ。

ムーンライト「ながら」に乗って別府への旅が始まる=5時15分ごろ、東京駅で

 旅のお楽しみは普段食べられないものをチョイスすること。豊橋駅の揚げまんじゅうは旨かった。天ぷらあんまき、おおあんまきともいう。あんこをどら焼きの皮みたいので包んで揚げる。1個200円。さっそく、いただきました。「うぉ、油がベチョベチョ。これは手ごわいぞ。」食べてみると思ったほど脂っこくない。中のこしあんと相性がいいようだ。うん、美味、美味。2本目の「チーズあんまき」に挑戦したかったけど、これは後のお楽みに。

10分余停車、ホーム階段を上りきるとおばちゃんが売っていた=豊橋駅


 近江八幡駅に着いた。「午後2時半か、早すぎだなあ」。チェックインの4時までだいぶあるぞ。明日のことを考えると倉敷あたりまで進めばよかったかもしれない。
 しかし、この町はおばあちゃんの故郷なのだ。女学校をでてから初めて小学校の先生として赴任した地なのだ。

本能寺の変、主をなくした安土の町を移転した=街並みは碁盤の目をめぐらしたようだ


 とにかく暑い! 日陰を選びながら歩く。城下町らしく城跡を中心に町並みの保存が進んでいる。近江兄弟社(現ロート製薬)はすぐにみつかった。同社が創立した学校も歴史的建造物の多い街の風景に解け込んでいる。
 じりじりと照る日差しに負けて早めに宿に行こう、とバスを待っていたら佃煮屋さんから店員がでてきて「お暑いですからお店のなかでお休みください」という。佃煮の匂い、ヒヤッとした店内。バスの時間まで20分くらいある。助かったぁ。しかし何もしないわけにもいかずお土産を検分する。勧められるまま試食もしてみた。「昔はこのあたりが町の中心だったのですが、今ではこの商店街も寂れるいっぽうで」とおかみさんが先行きを心配する。この地もまたシャッター通りが増えているのだ。

 今夜の宿、「近江八幡ユースホステル」前は一面の田んぼだ。稲の香りが心地よい。


 ユースホステル明治42年、築100年余の建造物。文化庁指定の登録有形文化財なのだ。
お薦めの料理は近江牛のステーキ。一緒に夕食の席についたのは、東京からきた大学生と名古屋からきた高校生だった。ふたりとも自転車に乗ってきたんだという。うーん、これはすごいぞ。
 高校生は大学生からバイトのこととか学生生活の話とかの指南をうけていた。お互い初対面だったけど遠慮がちに話しながらも密度の濃い夕ごはんになった。

息子さんとお母さんが切り盛りしていた=明日は始発のバスで出