2010年05月03日御岳山を下って

 日の出山から御岳山を歩いてきた。
 参道を下りてさあ、バスで帰るだけとホッとしたのもつかの間、長蛇の列がバスを待っている。
これは疲れるぞ。
 御岳駅まで歩けばあと40分ぐらいか。えーぃ、歩いてしまえとのんびり歩を進めることにした。

 バス停から500メートルも下った民家の玄関先に目がとまった。
「まんじゅう、1個100円。タケノコ500円」。
お櫃を開けたら暖かいまんじゅうが!
ひとくち頬張った。もちっとしたまんじゅうの皮と小豆の甘さが口の中に広がる。
さいころは、祖母や母がよく作ってくれた。甘いものがごちそうの時代に、本当にうれしかった。
生地をこね、薄くのばし、小豆をくるみ、丸く形を整える。ぬれふきんを蒸し器に敷いて、熱いうちにいただくのです。

 タケノコとまんじゅうのお代を料金箱に入れてその家から出たところで、隣家のおばあちゃんと鉢合わせ。「三つ葉をつんできたのですけど、召し上がりませんか」という。ふだんなら「ありがとう」。なのに、この日は思わず「ちょうど小銭を使い切ってしまって」と、買い物客みたいな言葉が出てしまった。
「お金なんて」と手を振りながら「差し上げますよ」と笑顔。自分の不明が恥ずかしかった。なんであんな言葉がでたのだろう。
 旅の終わりの寄り道。思わぬ人との出会いと親切に、いつまでも心が暖まるのだった。