本読み

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森のなかで=1998年7月、尾瀬・渋沢温泉小屋付近で

 ワクチン接種の翌日ということもあり、一日の大半を読書で過ごしました。 
 「樹木たちの知られざる生活」ー森林管理官が聴いた森の声ーという本です。
 ブナ林で見つけた、400、500年という過去に切り倒されたであろう、ブナの木の切り株から話は始まります。
 その切り株は、朽ち果てずに生きています。どうやら近くにある樹木が根を通じて栄養を譲っているらしい。弱っている仲間を助け、回復を期待するという森の姿がありました。
 「人間社会と同じく、助け合うことで生きやすくなる」からだと著者は書いています。
 木や森は、ともすると生物ということを忘れて、モノとして見てしまいます。しかし、木にも私たちとよく似た「生活」があることに気づきます。
 森林管理官を務めた著者の言葉は日々の観察に根差し、引き込まれるような説得力があります。森の木々は私たちが考える以上に、「自分を犠牲にしても他の人を助けよう」とする利他の心があるのかもしれません。