日本の原風景ともいわれる茅葺き建築。ユネスコは昨年12月に無形文化遺産に登録しました。伝統技術の保存につとめる関係者からは喜びの声が上がったのは言うまでもありません。
一方、かつて全国にあった茅場はほとんどが消え、職人さんらが材料の調達に苦心しているのが現状です。
嬉しい話題もあります。熊本県の阿蘇では、食べる牛もおらずただ野焼きするだけになっていた草が役立てばと、昨年から事業が本格化しました。また、御殿場市でも富士の裾野で採れる茅(注)を供給しています。
面白い提案をする人がいます。「茅葺き建築にスターバックスが入れば世界から観光客がきますよ」。
「茅の魅力は、風です。自然と一体化していて、爽やかな風が吹くんです。夏は戸や窓を開けっ放しにすると、鳥が家の中を通過します。ポトーンと音がすると思ったら、アオダイショウが天井から落ちてくる。面白いですよ。茅の葺き替えでは、職人が寝泊まりしながら葺いていきます。優美でした」。
注:茅とはススキなどの草の総称。