外国人技能実習生

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成田空港=本文とは関係ありません


\夢見た果てに 追い込まれる技能実習生/

 外国人技能実習制度は1993年に始まった。2020年6月の時点で全国に約40万人が滞在している(法務省発表)。国際貢献と途上国への技能移転を目的とした。しかし、現実は経営者にとっては労働力確保の手段であり、外国の方たちにとってはカネ稼ぎの手段になっていないかと指摘されて久しい。
 日本で働くまでの仕組みは、母国で日本語を3カ月ほど学び、日本政府が認めた現地の「送り出し機関」が実習生たちを日本へ送り出す。実習生たちを受け入れるのは日本政府が認めた国内の「監理団体」。そこで1カ月ほど、仕事や生活に必要なことを学んだうえで企業に派遣されていく。派遣先の多くは中小企業である。受入れ企業は渡航費、保険料など1人あたり数十万円の初期費用を払わなくてはならない。さらに、実習生1人あたり月に2万~4万円ほどの管理費を払わなくてはならないのだ。
 「韓国に学べ」という専門家は、採用の手続きを国が担うことを提言する。民間同士のやりとりは前述のように人材ビジネスになりやすいためだ。国が担うことで、初期費用や管理費を実習生の渡航費や賃金に回せるので、経営者も実習生もハッピーになれそうだ。
 また、日本の大学生が就職活動する時に登録するリクルートサイトのようなものを作って、実習生が求人に直接アプローチできる仕組みを作るといったアイデアもある。

 日本での待遇は、例えば宮城県で働くベトナム人女性の手取りは月12万円ほど。食費など2万円を手元に残し、母国の家族に送る。来日するために借りた100万円を返す必要もある。しかし、低賃金や労働環境のつらさのために失踪する実習生は後を絶たない。失踪者は2018年だけで9052人にものぼる。また、国会審議の過程で、凍死、自殺などで2019年までの3年間に69人もの実習生が死亡していたことがわかった。
 出入国管理法の改正(2019年)で、外国人労働者の受け入れが拡大したが自分がそうしろと言われたら耐えられないような冷ややかさが垣間見えている。たとえば「特定技能1号」という在留資格ができた。これによって、5年の技能実習を終えてさらに5年、最長で計10年日本で働くことができる。しかしその間、家族の帯同は禁じられる。あまりに酷な扱いではないだろうか。
 実習生一人ひとりには来日にいたる人生があり、家族や夢がある。同じ社会で暮らす「人」として向き合うことが、真の国際貢献にならないか。国際社会で将来、日本の存在感を示すためにも。

 

*おことわり:外国人技能実習制度の仕組みと数字は朝日と東京新聞および官庁のホームページから引用しました。