ヒダカソウ

アポイ岳では5月から6月にかけて直径2センチほどの花を咲かせます=17日、ご近所で

 ヒダカソウは、寒冷な気候の草地と多くの植物が生育できない強いアルカリ性の土壌(マントルが地表に露出したカンラン岩や蛇紋岩)にのみ生育する固有種です。
 国内では、日高山脈南部のアポイ岳に咲き誇る「ここだけの高山植物」と知られています。しかし、盗掘と温暖化が原因でヒダカソウは発見すら難かしい状態で、地元では保全に取り組むためにふもとで栽培を試みています。
 アポイ岳は海と高山植物を望める全国的にも珍しい山で、その美しさから様似(さまに)町全域がユネスコ世界ジオパークになっています。
 アポイの名は、アイヌ語で「火・ある・ところ」の意味です。山頂で天を焦がすばかりの大きな火を燃やし、シカを授けるようにカムイ(神)に祈ったという伝説に由来します。
 花の季節は5月から。エゾキスミレやヒダカイワザクラなどが咲き誇っています。眼下の太平洋を望みながら、この地域でしか見られない高山植物の探索を楽しむハイカーの姿が見られるそうです。