出羽三山は山岳信仰の聖地として知られています。三山をたどる道は死と再生をつかさどる「生まれかわりの旅」として江戸時代から広まりました。
羽黒山は現世利益をかなえる「現在の山」、月山は祖霊が鎮まる「過去の山」、湯殿山は新たな生命の誕生を表す「未来の山」とされ、山の自然と信仰の古来の結びつきを現代に伝えています。
私が登った月山は、亡くなった人が祖霊となって山を登り、天空へと戻っていく場所とされています。「牛首」辺りの息をのむような稜線の美しさは、神域とよぶのにふさわしい場所と思いました。
出羽三山を訪れた外国人のひとりは「自然、山に祈るということは、とても美しいと思います。最も慎ましく、感性豊かな経験をすることができました。」と話しています。
山の中で心と体を鍛える修験道。それは地球のうえでいきているという感覚を取り戻すことなのかもしれません。