宮城県石巻市は太平洋に面する港町です。昔から「川湊(かわみなと)」として栄え、江戸時代には北上川の水運の拠点として江戸に米を運ぶ集積地として知られています。今も、漁業が盛んな町でもあります。
しかし、震災で状況が一変。74人の児童が犠牲になった大川小学校をはじめ、町はがれきで埋まるなど大きな被害を受けました。市民らにとっては、復興復旧に一心不乱に邁進してきた10年間でした。
そんな中、原発から出る処理水の海洋放出が決まったことに町は揺れています。
宮城県内の漁業者は憤り、不安を隠せません。
「10年かけて元に戻してきたのにリセットかと思うと、憤りを通り越して無力感しかない。(被害が出れば)補償は当然だが、福島の避難者のように、いずれ打ち切られて終わりだ」。