鮭釣り 友人からの便り

 友人から便りが届いた。今春、長年勤めた社を辞めて北海道に別宅を求めた。現職時代に札幌に赴任、いかに住み良い土地柄なのかに気づいてしまったのだ。季節の良い時期は北海道で暮らして、冬は過ごしやすい湘南の本宅に戻るのだという。リタイアしたら好きな土地で気ままに暮らそう、というプランに奥様も大賛成してくれた。
  「網走へ秋鮭釣りに行ってきました」。そんな書き出しで始まったメールに釣果の写真が添えられていた。浜獲りというのでしょうか。

北浜は釧網本線北浜駅のすぐ前。ホームから広大な砂浜とオホーツク海が望める=友人提供

 友人の話では、オホーツク海に面した北浜の浜辺に四畳半ほどの小屋を建てて、約2か月間釣りをするそうだ。シーズンは8月から10月中旬までで、メ ンバーが毎日交代で小屋に寝泊まりして釣果を競う。その長い期間を過ごすために、生活必需品はすべて完備する。
 快適な自宅で過ごすようなわけにはいかず、発電機を持ち込み、料理は携帯ガスコンロ、水はポ リ容器に汲み置きと・・・と不便極まりないが、鮭を釣り上げる感触と感動を思うとなんでもありません、と意気軒昂だ。
 本人は二日間寝泊まりしたけれど、想像以上の快適さに満足したという。
 こちらの秋鮭釣り用の基本仕掛けは幹糸(注1)12~14号でハリス(注2)8~10号、△錘(注3)は30~40gにタコベイト針などを使う。このように太い道糸やハリスを使うので、一度掛かったサケを逃すことは余程の事がない限りはない。ただ、ゆっくり上げて泳がせてしまうとオマツリ(他の釣り竿の糸に絡む)したり波の返しなどでバレル(一度針に掛かった魚が針から外れ魚を逃がしてしまうこと)ことがあるので、手早く釣り上げるのがコツとか。
 今回は網走の友人と三人で投げ竿14本を使い、なんと秋鮭21本を釣り上げた。でも、事前の情報では今年は海水温が高く秋鮭が岸によらず魚影が薄かったのだという。しかし、網走に行く前々日ごろから気温が低くなった影響で釣れ出したようでラッキー!、と喜んでいた。

砂浜に跳ねるサケ=友人提供

(注1) 幹糸:仕掛けの軸となる釣り糸。何本かの鉤素(はりす)を出すときの幹になる。
(注2) ハリス:透明な釣り糸。近年は強度と透明感に優れているナイロンからフロロカーボンに変ってきている。
(注3) △錘:三角の円錐形のおもり

おことわり:本文はできるだけ原文に手をいれないようにしました。友人からアドバイスを受けリライトしました。