財政危機

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この美しい日本の財政は=2021年3月

 矢野康治財務次官が今月発売の月刊誌「文芸春秋」に投稿し、日本の財政危機に言及しました。

 「日本は衝突直前のタイタニック号」と前置きしたうえで、「誰が総理になっても1166兆円の“借金”からは逃げられない。コロナ対策は大事だが人気取りのバラマキが続けばこの国は沈む」と警鐘を鳴らしました。

「このままでは国家財政は破綻する」矢野康治財務事務次官が“バラマキ政策”を徹底批判 | 文春オンライン (bunshun.jp)


 1166兆円という財政赤字(「一般政府債務残高/GDP」)は256.2%と、第2次大戦直後の状態を超えて過去最悪な状態になっています。

 来年度の税収見込みが57兆円という財務省の発表を見ても、その額の大きさがわかります。
 

☆どのくらい借金に依存してきたのでしょうか。

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狭まらないワニの口=財務省ホームページより

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21年度予算案=財務省ホームページより

これまで、歳出は一貫して伸び続ける一方、税収はバブル経済が崩壊した1990年度を境に伸び悩み、その差はワニの口のように開いてしまいました。また、その差は借金である公債の発行で穴埋めされてきました。足もとでは、新型コロナウイルス感染症への対応のため、歳出が拡大しています=財務省ホームページより。

 

財政破綻が起きないのは、主要国の中央銀行が、自国政府が発行する国債などを大量に買い取っているためで、いわゆる金融緩和で、金利の上昇を抑え込んでいるからです。
 日本ではコロナ前から日本銀行が大量の国債を買う「異次元緩和」が当たり前になっているため、国債金利が跳ね上がって借金ができなくなるといった財政破綻が起きていません。
 日銀の国債買い入れでリスクが隠され、積み上がる国の借金。財務次官の発言は、まるで国庫には、無尽蔵にお金があるかのような与野党政策論争を諫めたのだと思います。

 

☆日本国債の主な経緯☆
·1965(昭40) 戦後初の赤字国債発行へ 閣議決定
·1975(昭50) 財政特例法案(2兆2900億円の赤字国債発行)を可決。
·1977(昭52) 国債依存率30%以内の線を放棄 景気回復を図るため 閣議

·1978(昭53) 78年度予算成立 国債依存率32%。
·1983(昭58) 国債発行残高が初の100兆円突破。
·2002(平14) 日本国債A2に格下げ途上国並みに 財政悪化に歯止めがかからず。
·2003(平15) 国の借金(国債や借入金、政府短期証券など)、最多668兆円突破 財務省発表。
·2004(平16) 国の借金700兆円突破 国民1人当たり約570万円の借金 財務省発表。
·2006(平18) 国の借金800兆円突破 財務省発表。

·2019(令01) 国債の発行残高887兆円突破 財務省発表。

·2021(令03) 国の借金は973兆円、地方の債務を併せると1166兆円 来年度の税収見込みは57兆円 財務省発表。