「昨日の国際面に載ってるボスニアの橋、ここに行ったんですよ。」との連絡が入った。新聞を開いた。南部の中心都市モスタルのネレトバ川にかかる橋「スタリ・モスト」のことだとわかった。
1992年、ユーゴスラビアが解体、4共和国に再編された。ボスニア・ヘルツェゴビナでは主要3民族が「民族浄化」を繰り広げた内戦がぼっ発した。1995年に和平が実現したが亀裂は深く、国内は分断されたままである。
「スタリ・モスト」は、2005年に世界遺産に登録された。その橋は、二つの別世界を結ぶ橋でもある。川を挟んでカトリックのクロアチア系とイスラム教徒のボシュニャク系が暮らす。施設や人的交流を含めてすべてが別々だ。
民族や地域によって幾重にも分断されたこの国では、主要3民族がそれぞれ選出する大統領3人が、8カ月交代で務めている。それぞれの民族の利益を代表するその姿からは、統一国家の建設が遠い道だと思わせる。