それは焼け跡の屋台から始まった。
「１杯のラーメンを手にするために、人はこんなに努力するものなのか」。
昭和20年、疎開先から帰ってきた安藤百福は大阪駅前に立っていた。あたり一面は焼け野原。ビルの残骸のほか、視界を妨げるものはなにもないのだ。だが、瓦礫が残る空き地には無数の屋台が並び、群がる人の長い列が見えた……。
安藤の目に焼きついたこの光景が即席ラーメン誕生のきっかけになった話は有名です。
天麩羅にヒントを得て、麺を揚げ油熱乾燥させた。お湯をかけるだけで食べられるようにとチキン味にしたのです。
世界初の発売から来年で65年。日清食品の基礎を築いた「チキンラーメン」は依然人気トップ。
発売60周年目にあたる令和元年には「チキンラーメン」ブランドが世界総需要年間1,000億食を超える一大産業になりました。
安藤さんはかつて、「この食が豊かな時代に、不思議だ」と話しています。
