ホームレス

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公園=本文とは関係ありません

 柳美里さんの「JR上野公園口」は、上野公園でホームレスとして暮らす男性の生涯をとおして社会のひずみを描いた。なぜ、全米図書賞を受賞したのかを知りたいと思った。

 誰もなりたくてホームレスになる人はいない。失業など何らかの事情を抱えて、家族の絆すらも絶って孤立している。

 厚労省は、先月22日に生活保護の利用を促す異例のメッセージをホームページに掲載した。

 しかし、申請をしないという男性は「家族に迷惑がかかるから」と話す。申請をすると家族に連絡がいく。狭い町なので上野でホームレスになっていることはすぐ広まるだろう。肩身の狭い思いをさせたくないという。家にも帰らない。一度、自宅近くまで行ったが入れなかった。「いまさらどの面さげて会えるのか」。自身の身をなげうつ覚悟のうえに成り立つ家族愛に満ちた言葉ではないだろうか。

 都の公園緑地事務所は、公園からホームレスを追い出す対策を進めているが、何の解決にもならない。ホームレスゼロを目指し、血の通った対応を行政に強く望みたい。