昔つれづれに(5)都市地図の収集

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遠くに見えるあのビルの名前は?

\正確度で優れる官製。民間製はわかりやすい/


 都市図の魅力-それは、居ながらにしてその地を想像し、夢をはせることができることにあるのではなかろうか。情報を組み合わせ、重ねることで、読者をいっそう現場に引きつけることも可能だ。

 今回、収集したリビアの首都トリポリの地図を開いてみた。61年4月17日付本紙に、米軍の報復爆撃を受けたリビアトリポリの表情を伝える記事がある。その中に「バブ・アルアジジヤ」という地名が出てくる。インデックスを見る。Other Buildings and Places の項目に「Bab Al Aziziyah」の表記。日本大使館はどこだろう。北東の方向、そう遠くない市の中心部に各国の大使館が軒を並べている。

 「世界紛争地図」という本がある。永らくロンドン・エコノミストの国際部長、副編集長を務めたアンドリュー・ボイド氏が、1982年までに起こった‘世界の紛争‘を記している。いつ海外の都市図が必要になっても不思議ではない世界情勢なのだということを改めて感じる。

 地図を専門に輸入している東京印書館の国際地図情報センター、「マップ・ハウス」(野中謙一所長)にあたった。「(世界各地の)主要な都市地図をそろえたい」と小田島直幸所員に注文を出した。「東欧圏、発展途上国の中には入手困難なところがある」という。フィリピン、インドなどは官製地図を国外に出さないそうだ。

 別表は今回の収集分だが、官製図と民間図の間には、かなり際立った表現上の差がある。前者は多目的に使うための基本図なので正確さに優れており、後者は詳しさ、わかりやすさという点で、案内図的な性格を持っている。

 収集の対象は、首都など重要都市と世界が注視している地域の地図だ。将来は、点から面の収集も考えなくてはならない。


都市地図受け入れリスト(〇印は首都を示す)〇アテネ (ギリシャ)アトランタ (米国)〇アブダビ(アラブ首長国連邦)〇アムステルダム(オランダ)アントワープ (ベルギー)イスタンブール (トルコ)〇ウイーン (オーストリア)

以下、省略。

                                    1989年  局報