お塩の話

スイセン越しに三浦半島の海が見えます=2016年1月17日、城ヶ島

 塩の専売制は始まってから90年余で廃止され、家庭用の塩の販売等を行う公益財団法人「塩事業センター」に引き継がれました。一方で誰もが作れるようになって、製法も産地によってまちまち。数百種にもなります。選ぶなら……。

 塩事業センターの扱う塩はイオン交換膜製法でつくるので純度がいい。しかし、おりからの自然食ブーム。手をかけ時間をかけたものに消費者はあこがれる傾向にあるようです。

 「海をたべよう」。古来からの製法で大島や瀬戸内海で作られる塩があります。高さ6m超のコンクリートブロックの上から海水を3回から5回、循環して流すと日照と風のエネルギーで水分が蒸発、濃い海水ができる。これをビニールハウス内に1、2週間ねかせておけば、塩が結晶、カマで煮詰めないところが売りです。

 味はどうか。コックさんの話では、いい塩を使っても素材のうまみを引き出す料理ができないと駄目だといいます。ブランドよりさじ加減ということでしょうか。

 塩選びはロマン。家では「これはアルプスの塩」「これは太陽と風で作った」とか、その塩にまつわる物語を一緒に味わうことで、おいしく楽しめそうです。