タネを考える

実りの秋(本文とは関係ありません)=18日

 

 花や野菜の自家採種をされている方も多いかと思います。市販のタネの多くは「固定種(注)」から品種改良を行った第一代(F1種)に置き換わっています。このF1種は一代限りで、タネが採れないので注意が必要です。F1種は交配したタネの良いとこ取りをしてありますが、採れたとしても劣勢の遺伝子の特徴が現れてくるからです。
 スーパーなどに並んでいる大半の野菜は、均一性を求める市場の要請から形状や収穫時期にばらつきがないF1種から生産されたものです。このため、農家は毎年種子を買い続ける必要があります。
 このままでは貴重な固定種が途絶えてしまうと、心配する農家や市民によって各地で固定種の交換会が行われています。交換会以外の入手先は一部の種苗会社や研究所などに限られてしまいました。
 以前から当たり前のように続いてきた食べ物を取り巻く環境は、私達が気づかぬ間に大きく変化しています。
 世界は将来的な食料危機への懸念が高まっていることはご承知のとおりです。将来にわたって食の基盤を確保し、安心して食べ続けていくために、今、一人ひとりにできることは何だろうか、を考えさせられます。

 

野口種苗研究所
https://noguchiseed.com/hanbai/

 

(注)固定種:その土地に根付き、種を採りながら代々育ててきた野菜や花のこと。在来種とも呼ばれています。形の良さにとらわれず、より良いものを選び、種をまいて育てる。そしてまた種を採り、まく。それを続けることで種を買わなくてもよくなります。